全国定時制通信制生徒生活体験発表大会とは、教育支援団体の「全国高等学校定時制通信制教育振興会」(公益財団法人)が主催する発表大会です。
定時制や通信制で学ぶ生徒がお互いの経験を発表し、今の学びに誇りを見出すための行事として開催されています。
同法人の設立は1964年で、それ以降開催され続けており、2023年時点で70回目になる歴史のある大会です。
始めは公立のみで開催されていましたが、近年私立通信制高校の参加も交えて活発さを増しています。
通信制高校に通う生徒には不登校・いじめ経験者や家庭内での問題を抱えている生徒も多いです。自分自身の体験を語ることは、自分の心の整理にも繋がりますし、同じ様な体験をしている人にとっては、「私だけじゃなかったんだ」という勇気付けにもなります。
通信制高校の入学を考えている人にとっては、この発表を聞く(知る)ことで、通信制高校で学ぶとこんな風になれるんだなというモデルにもなっていると感じます。まずは最近の発表の中から、公立の通信制高校で学ぶ生徒の発表を引用して紹介します。
公立の通信制高校で学ぶ生徒の発表
私は小学校・中学校と不登校でした。高校も本当は行きたくありませんでした。そして、行けるとも思っていませんでした。でも中学校の先生に強く勧められ、Y校を受験することになりました。
通信制の高校だったら週1回、日曜日だけ行けばよいし、家からも遠いので知り合いに会わなくてすむから、という理由で入学しました。
高校に入って周りを見ると、いろいろな人がいました。白髪頭の男性は先生だと思ったら生徒だったし、黒いスーツを着て眉毛を細く整え、香水をにおわせている男性はホストのようです。コスプレ衣装で登校する女子もいれば、子供を連れてレポートを出しにくる女性もいます。 ~中略~
「周りと同じでなければいけない」と思っていた中学時代とは、全く違う世界がありました。私はあまり人目を気にしなくなり、「人と違っていてもいいんだ」と思うようになり、だんだんと気持ちが落ち着いてきました。 ~中略~
今、通信制で学んでいる私が、中学生の頃の私に会えるとしたら、こんなふうに言ってあげたいです。
「学校に行けないからといって、自分を嫌いにならないで。行きたくなかったら行かなくてもいいと思う。「行けない」ではなく、「行かない」という道を自分で決めて、その時できることをすればいい。人より少し遅くなったけれど、スタートはいつでもできるから、ゆっくり学んでいいんだよ」と。
引用:手島純、通信制高校のすべて、彩流社、2017、267p
入学したきっかけがとても素直に書かれている所が、自分自身に対して誠実だと思います。
「知り合いに会わなくてすむから」という所からは、心機一転して新しい自分を作っていきたい気持ちも感じられます。
作文の書き方
この作文については、夏休みの課題として取り組んでいる人もいると思います。
まず始めに、コピペは止めておきましょう。自分の体験を振り返って文字にする事は心の整理に繋がりますし、過去の経験が今の自分の肥やしにもなります。
普段長い文章を書く機会がないと、取り組む時に抵抗感もあると思いますが、自分の言葉で自分の思いを書くと、「自分らしさ」の発見にも繋がります。まずは次の手順で大枠を決めてみて下さい。
- 通信制(定時制)高校に入学したきっかけ
- 入学時に感じた事
- 実際に学んでみて感じた事、印象に残っている事
- 学ぶ前と学んだ後で変わった事
- これからどんな風に生きていきたいと考えているか
自由作文ですので、評価は気にせず、あなたが感じた事を、あなたの言葉で書くのが1番のポイントです。
入学したきっかけについては、人に話せる範囲で大丈夫です。
5のこれからについては、特に何がしたい・こうなりたいという目標が決まっていなくても、「こういう事を意識して生活していきたい」というニュアンスで大丈夫です。(例:やりたいと思ったことは取り敢えずやってみる。楽しいと感じられる事を大切にする等)
辛かった体験を人に話せるようになると、その体験が自分の中でクリアになる事にも繋がりますが、思い起こすのが苦しいのであれば無理に書いたり話す必要は一切ありません。
是非あなたにしか書けない作文をクリエイトしてみて下さい。今の時代文章が書けると、ホームページやブログを活用して、誰かに雇われずに自分で稼ぐ事も可能です。