通信制高校は定期券が使えない?JRで学割回数券を買うには「学校学生生徒旅客運賃割引証」が必要

「通信制高校は定期券が使えないの?」「どうしたら通信制高校に通う生徒が、学割回数券を買えるの?」と思っていませんか?

各地域から許可を受けた通信制高校の生徒は、通学定期券が利用できます。



一方、通信制高校のサポート校は、2025年4月から通学定期券の利用ができなくなります。
このページでは、
- 通信制高校を検討している保護者
- これから通信制高校に通う生徒
- サポート校に通う生徒の保護者
に向けて、
- 通信制高校の通学定期券について
- 回数券の買い方について
- サポート校で通学定期券が利用できない理由
などについて、詳しく解説しています。
このページを最後まで読むと、通信制高校の通学定期券と学割回数券の違いから買い方、サポート校で通学定期券の利用が停止された経緯まで具体的に理解できます。
ぜひ、最後までご覧ください。
通信制高校は通学定期券が使える


通信制高校の生徒は、通学日数など一定の条件を満たすことで、通学定期券を利用することができます。
通信制高校は、文部科学省が定める学校教育法の第1条に掲げられた教育施設であり、必要単位数を修得して卒業すれば、全日制高校と同じく、高校卒業資格を取得できる「学校」です。
通信制高校でも、スクーリングや単位認定試験、学校行事など、本校や分校などのキャンパスに行くときに通学定期券を利用できます。
通学定期券とは
通学定期券とは、学生向けの割引定期券です。



主に1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の有効期間内に、自宅の最寄り駅から学校の最寄り駅の区間で何度も交通機関を利用できる乗車券です。



「通勤定期券」よりも割引率が高いことが特徴です。
通学定期券は、学校が最寄りの鉄道会社やバス会社に届けを出し、受理されることによって、その学校の生徒が購入することができるようになります。
通学定期券は通学目的以外は購入できない
通学定期券は、通学を目的に利用できる乗車券です。



通学定期券を利用できる区間は、自宅の最寄り駅から学校の最寄り駅までなど、証明書に記載された区画のみになります。



例えば、アルバイト先、習い事やレッスン教室の最寄り駅と自宅の最寄り駅の区間で定期券を買いたい場合は、「通勤定期券」を申し込むことになります。
通学定期券の買い方


通学定期券を購入するには、各学校が発行する「通学証明書」または「通学定期券購入兼用証明書」が必要になります。
- 通学証明書
-
通学証明書とは、「交通機関を利用して通学する学生」であることを学校側が証明する文書を意味します。
- 通学定期券購入兼用証明書
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通学定期券購入兼用証明書とは、電車通学やバス通学などの公共機関を利用する学生が、通学定期券を購入する際に必要な証明書を意味します。
通学区間が書かれている、「生徒手帳」や「生徒証明書」を指します。
通学区間が記載されていない学生証では、通学定期券の購入はできません。
通信制高校で、「通学証明書」または、「通学定期券購入兼用証明書」を発行してもらい、通学定期券の購入時に提出します。
通学定期券の価格
通学定期券は、利用区間や利用期間によって価格が変わりますが、一般運賃の3~5割引です。
通学日数が多い場合は、通学定期券を利用した方が交通費を節約できます。
通信制高校の生徒がJRで使える「通学用の割引回数券」


通学日数が少ない場合、通学定期券だと交通費が割高になることがあります。
その場合は、JRグループで利用ができる「通学用の割引回数券」の方が割安になります。
JRの通学用「割引回数券」とは
JR東日本によると、通学用の割引回数券は、通信教育を行う高等学校の生徒、および放送大学の学生が面接授業または試験のために通学する場合に利用できる、運賃を割引した普通回数乗車券(11枚つづり)を意味しています。
価格 | 有効期限 | |
---|---|---|
普通回数乗車券 | 10回乗車分の運賃で11枚つづり(1枚お得) | 3ヶ月 |
通学用の割引回数券 | 普通回数乗車券の5割引(6枚お得) | 6ヶ月 |



一般的な回数券(普通回数乗車券)は、決まった区間について、10回乗車分の運賃と同じ価格で11枚つづりの乗車券(有効期間3カ月)が購入できるという割引制度です。



一方、通信制高校の生徒が利用できる「通学用の割引回数券」は、普通回数乗車券の5割引で有効期間6カ月の回数券を購入できる割引制度となっています。
割引率 | |
---|---|
放送大学 | 2割引 |
通信制高等学校 | 5割引 |
JRの通学用「割引回数券」の買い方


JRグループの通学用「割引回数券」の購入には、各学校が発行する通信教育学校用の「学校学生生徒旅客運賃割引証」が必要になります。
「学校学生生徒旅客運賃割引証」とは、JRグループの乗車券を学生割引価格で購入するために必要な証明書です。
在籍する通信制高校の代表者に、乗車券の種類・乗車区間、その他の必要事項を記入したものとし、回数券の購入時に提出します。
サポート校は通学定期券が使えない


通信制高校のサポート校は、2025年4月からJRの学割定期券の対象外になるため通学定期券が利用できなくなります。
サポート校は、これまでも学校教育法によって定められた高等学校ではなく、塾や予備校のような位置づけであったため、ほとんどの場合に定期券の学割が適用されてきませんでした。



ただ、鉄道会社の中には、「学校教育法で定めた高校や中学校などの在籍者」との条件付きで、通学以外に習い事や塾などに行くのにも使える通学定期券を販売している会社もありました。



そのため、法律上は学校に分類されないサポート校で授業を受けている場合、「通信制高校の本校に紐づく施設」として、通学定期券が購入できることもありました。
ただ、JRの発表を受け、他の鉄道会社でも通学定期券等の利用が停止されていく可能性があります。
サポート校で通学定期券が使えない理由


サポート校で通学定期券が利用できなくなった理由は、文部科学省の「高等学校通信教育規定」改定に伴う、JRの規則改定によるものです。
サポート校で通学定期券が使えなくなった経緯
文部科学省は2021年4月21日に「新しい時代の高等学校教育の実現に向けた制度改正について」を公表しました。



この改訂では、「通信制高校の面接指導等を行う施設の取り扱い」に関する制度が改正され、通信制高校のサポート校の法的位置付けを「学習等支援施設」と明確化しました。



これを受けJRは、「学習等支援施設」へ通うための通学定期券等は発行しないという規則改定を行い、サポート校の生徒には2025年4月1日以降、通学定期券の利用が停止されることになりました。
JR以外でも通学定期券、利用停止の可能性
JR東日本の規則改定に伴い、通学定期券は2025年3月31日までは使用できますが、4月以降は利用できなくなります。



利用的なくなった通学定期券は、払い戻しが可能なため、利用予定がなくなった時点で払い戻しすることをおすすめします。



また、JR各社も同様の扱いになり、JRに準じた対応をとる私有鉄道もあるため、他の鉄道会社でも通学定期券等の利用が停止されていく可能性があります。
通学定期券から通勤定期券の変更で交通費が2倍に
サポート校の生徒は、「通学定期券」が利用停止になったことで、利用できる定期券は「通勤定期券」になります。
週5日毎日通学する通信制高校のサポート校に通う生徒は、通学定期券から通勤定期券になることで、交通費が1.5~2倍ほどに変わります。
2025年3月31日以前の交通費の事例
2025年3月31日以前 | 通学定期券 | 44,630円 |
2025年4月1日以降の交通費の事例
2025年4月1日以降 | 通勤定期券 | 85,540円 |
サポート校、通学定期券の利用停止にあがる声
不登校だけでなく、多様な事情を抱える生徒が通う通信制高校。



通信制高校のサポート校は「学習支援施設」として指定されていますが、中には全日制高校と変わらない感覚で週5日通っている生徒もいます。



通信制高校の生徒数が毎年増加している中、サポート校に通えたから高校を卒業することができたという生徒も多くいます。
サポート校は学習の質を高め、人間関係を深める場所で、学習塾とは異なります。
やっとの思いで見つけた通える学校に、経済的な理由で通えなくなる生徒が生まれるかもしれません。
まとめ
このページでは、
- 通信制高校を検討している保護者
- これから通信制高校に通う生徒
- サポート校に通う生徒の保護者
に向けて
- 通信制高校の通学定期券について
- 回数券の買い方について
- サポート校で通学定期券が利用できない理由
について解説してきました。
学校と同じ機能を持つ、通信制高校のサポート校。
通信制の教育とはいえ、様々な理由があり、意欲的な学生が週に何度も通う通信制高校から認められた施設で、通学定期券が利用できなくなります。
サポート校に通うことが決まった後に、通学定期券が使えないことを知ると経済的な理由で通えなくなる生徒が出てくるかもしれません。
サポート校では、通学定期券を購入できない事実が、事前に把握できるよう願い、文章を書き終えます。